ピアノを練習する時、題名がついていると
イメージしやすく、自然に感情移入ができます。

特に幼いうちは、経験も少なく
より生活に結びついた曲名の方が
導入もスムーズです。

レッスン駆け出しの頃は、昔ながらの
〝バイエル〟を使用していたのですが
今思えば、大切な導入期に
ずいぶん味気ないレッスンをしていたと
今さらながら残念に思います。
当時は、子供が喜ぶ挿し絵もなく
題名の代わりに番号しかない曲を
100曲も延々と弾かせることに
特に疑問も抱いていませんでした。

その後年月が流れ、教材研究を繰り返す中で
たくさんの素晴らしいテキストに
出会いました。
それらは、子供たちが喜ぶ美しい挿し絵が
豊富で、音楽的にも満足できる曲が
たくさん詰まった、まるで宝物のような
テキストです。

そんなテキストをながめる、子供たちの目は
生き生きとして「弾いてみたい!」
そんな気持ちが、沸き起こるようです。
題名と挿し絵から、弾く以前にすでに
イメージがふくらんで
譜読みの段階から〝表現しよう〟
という思いが感じられます。

人との出会いが、人生を左右するように
よいテキストとの出会いは
ピアノを続けていく上、でとても重要な鍵を握っています。
まずは、題名のついた曲を、数多く弾くことで
表現することが、自然にできるように導き
豊かな表現力を育てていくことが
大切だと考えています。